Newsletter #18-4 新任教員紹介

2017年12月24日

新任教員紹介:市原 健介(いちはら けんすけ)

(News letter 18号掲載予定)

水圏ステーション 室蘭臨海実験所・特任助教

経歴: 北海道大学大学院理学院自然史科学専攻博士後期課程修了。博士(理学)。専門は海産緑藻の分類学、進化生物学。東邦大学博士研究員、日本女子大学学術研究員、日本学術振興会特別研究員(東京大学新領域創成科学研究科)等を経て、平成29年4月より現職。

 初めまして、2017年4月に文部科学省教育関係共同利用拠点の特任助教として室蘭臨海実験所に着任しました市原健介と申します。これまでは主に緑色の海藻類を対象として、分類(新種記載)や適応進化の研究を行ってきました。大学院時代は、沖縄県で発見した淡水産のアオノリの新種記載や低塩濃度への適応機構についての研究を行い、学位を取得しました。学位取得後は緑色海藻シオグサ科の分類や、微細藻ヒメミカヅキモの有性生殖機構、最近では緑色海藻アオノリ類での性染色体領域の解析や生殖様式の進化について研究を進めています。
 室蘭臨海実験所には、もう10年以上昔の話になりますが、学部生時代に臨海実習でお世話になった思い出があります。当時の実験所は、チャラツナイの崖の下にあり、眼前に雄大な太平洋が広がっていたのをよく覚えています。臨海実験所という自分の研究対象である海藻類がいつでも採れる場所で、研究生活を送れることはとても幸運なことです。ここでの生活を通じて、自分の研究テーマをしっかりと確立したいと考えています。
 着任し、すでに半年以上が経ちますが、国内・国際臨海実習に加えて、室蘭市の小学生や中学生を対象とした学習会を複数担当させて頂いたこともあり、本当にあっという間に時間が過ぎて行ったと感じています。陸上植物と比べると、海藻類は花も付けませんし、地味な印象が強いかもしれません。しかし、実際に海に出てみると、陸上植物の花に勝るとも劣らない鮮やかな色彩の海藻を多く見ることができます。紅藻、緑藻、褐藻はそれぞれに多様性な生活史や生殖様式を持っており、生物学的な視点で見てみても非常に魅力的なグループです。また褐藻類からはアルギン酸やフコイダン、紅藻類からは寒天等の抽出物も多く生産されており、実は人の生活に密に関わっているグループでもあります。臨海実験所で行なわれる実習やその他のアウトリーチ活動を通して、様々な海藻の魅力的な面を利用者の方たちに伝えていけるよう努力していきたいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。