中川研究林は、1902(明治35)年に当時の北海道国有林より所管替えを受けて天塩川中流域の右岸側に創設されました。現在の面積は約19,400ha で、北海道北部の音威子府村と中川町にまたがって所在しています。地形は起伏が激しく、大小の山地河川が流れています。地質は大部分が中生代白亜紀の堆積岩で、一部に第三紀層と塩基性の強い蛇紋岩が分布しています。このように複雑な地形や地質のため、さまざまなタイプ の森林が存在するのが中川研究林の特徴です。標高は20~716mと比較的低いものの、渓畔林から針広混交林、ハイマツ地帯まで、多様な植生の垂直分布を観察することが出来ます。高木のカツラやキタコブシ、草本のカタクリは中川研究林内が分布の北限になっており、蛇紋岩地帯ではアカエゾマツ純林やオゼソウ群落など特殊な植生が見られます。
当研究林全体が鳥獣保護区に指定されており、オジロワシなどの貴重な鳥類の生息地や、サケ科魚類の産卵場所として利用されています。その一方で、エゾシカの増加や外来種であるアライグマの侵入が確認され、それら動物の増加による森林生態系への影響が懸念されています。また、当研究林内では国道40 号線バイパス建設が行なわれており、開発による生態系への影響評価や環境への負荷が少ない開発技術の確立などの課題もあります。
中川研究林 森林圏ステーション

- 住所
- 〒098-2501 北海道中川郡音威子府村字音威子府483番地
- TEL
- 01656-5-3216
- FAX
- 01656-5-3218
- 代表メールアドレス
- nakagawa [アットマーク] fsc.hokudai.ac.jp
- 施設サイト
- http://www.hokudaiforest.jp/about-us/中川研究林/
施設の特徴
温帯北部から亜寒帯への移行帯の針広混交林で、カツラやキタコブシなど温帯性樹種の北限です。
利用できる付帯施設
実験室・講義室・音威子府宿泊施設(定員: 10名)・中川学生宿舎(定員: 40名)
利用に際して提供できる道具・機器類
年輪解析装置・卓上面積計・送風乾燥機・実体顕微鏡・光波距離計・pHメー ター・ECメーター・電子天秤
利用に際して提供できる人的サポート
現地案内、調査補助、実習補助のほか、各種車両や各種機器類を用いた現場作業などのサポート
施設を利用した主な教育・研究
教育:
本学の全学教育科目、農学部、大学院環境科学院などの学生実習だけでなく、国内外の他大学による各種の学生実習にも利用されています。また、音威子府小学校、おといねっぷ美術工芸高校といった地元の学校の総合学習の場にもなっています。
研究:
1970年代から森林動態を解明するために多数の長期観察林が設定され、現在では47箇所、総面積42.4haになっています。また、天然林施業法の確立を目指して1967年から照査法試験林を設定、総面積261 haに対し40年近く毎木調査を行っています。この森林動態の大規模な長期調査プロットは、近年はラジコンヘリ等を用いた遠隔からの森林調査法開発や、択抜施業と 生物多様性の両立を目指した研究にも利用されています。
それらの特色を活用し、長期的な森林生態系および環境変動パターンの解明のために、長期観察林における毎木調査だけでなく、哺乳類・魚類・鳥類の個体数および水文水質・気象データの長期モニタリングも行っています。さらに、気候変動(温暖化、雪解)に対する北方林の応答 メカニズムを解明するために、大規模野外操作実験を実施して森林の生物多様性および生態系への影響の解明を目指しています。
施設からのメッセージ
ご利用やご宿泊を検討される際は、まずは中川研究林庁舎へお問い合わせください。
中川研究林の大面積長期試験地の紹介が朝日新聞北海道版に掲載されました
2019年4月22日
中川研究林で取り組んでいる樹木の生長と伐採に関しての50年にわたる長期調査が朝日新聞北海道版に紹介されました。
記事は朝日新聞DIGITALの下記サイトにも掲載されていますので、世界的にも例のない取り組みをご覧ください。
https://www.asahi.com/articles/CMTW1904220100006.html

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中川研究林・森林管理体験会《早春の調査編》のご案内:3月26日開催!
2019年3月5日

中川研究林にて、森林管理体験会《早春の調査編》を2019年3月26日(火)に開催します(申し込み締切:3月18日)。
対象者は森林に興味をもっている高校生・大学生・大学院生で、雪の残る天然林内で毎木調査を行います。
詳しくは北大研究林ホームページの告知ページをご覧ください。ご参加お待ちしております!
(中川研究林 馬谷)
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中川研究林で行われた「広葉樹施業体験会」が北海道新聞に紹介されました
2017年1月25日
北海道新聞社の掲載許諾期間が過ぎたため、記事の画像は消去いたしました。
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NHK「ほっとニュース北海道」で「家具職人を目指す若者たち」にニュースで中川研究林が紹介されました
2017年1月24日
1月23日の「ほっとニュース北海道」内で放送されました、中川町×北海道大学中川研究林×旭川高等技術専門学院「広葉樹施業体験会」フィールドワークショップのニュース動画が、NHKのニュースサイトで公開されています。
http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20170123/3160991.html
注:リンクの有効期限ははNHKのサイト運用によります
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砂澤ビッキ作《思考の鳥》の「キツツキ」が倒れました
2021年5月2日
4月21日に中川研究林庁舎に建てられた、砂澤ビッキの作品である《思考の鳥》の「キツツキ」が、真に残念ながら倒れてしまいました。
詳しくは中川研究林のウェブサイトをご覧ください。

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「バチ」による人力集材の記録
2015年12月3日
中川研究林で、かつて冬の造材現場で使われていた「人バチ」の写真です。おそらく昭和40年前後の写真ではないでしょうか。
バチとは、伐採した木を土場まで運び出すのに使っていた橇のような道具です。馬が引くのではなく、人が引っ張るのが「人バチ」です。
丸太の頭をこのバチに乗せて少し丸太を浮かすことで、雪面との摩擦を減らして運びやすくしていたのではないかと思われます。
けっこう太い丸太を人の力で運び出していたことに驚きました。
(追記)
この道具は「つのバチ」というそうです。
下記のサイトに詳しい使い方が紹介されていました。
http://www.onitoge.org/ryokou/120929/6.html
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