忍路臨海実験所 水圏ステーション

忍路(おしょろ)臨海実験所の歴史は、1908 年(明治41)、わが国では2 番目に古い大学の臨海施設として東北帝国大学農科大学水産学科に忍路臨海実習所が設置されたことに始まる。実験所は小樽市の中心部から約15km 南西方向に位置し、施設が面する忍路湾は石狩湾の湾奥にあり、夏季から秋季にかけては対馬暖流が、冬季から春季にかけてはリマン海流系の海水が入り込み、湾口に続く岩礫地帯は格好の海産動植物の生息(生育)場所になっている。湾内は荒天の際にも波浪を生じにくい環境であるため、実験所前浜は一年を通して様々な海凄生物の採集のみならず、各種の飼育実験、海水の測定、プランクトン採集にも適している。これらの地域特性を生かし、現在は担当教員による大型海藻−特にコンブ類−を対象にした、多様性研究や保全研究、育種研究が進められているほか、毎年札幌キャンパスや函館キャンパスから多くの研究者・学生が訪れ、海凄生物の分類や生態、生物の持つ化学物質などに関して教育・研究活動を行っている。

忍路臨海実験所
住所
〒048-2561 北海道小樽市忍路1丁目460
TEL
0134-64-2303
FAX
0134-64-2303
代表メールアドレス
oshoro [アットマーク] fsc.hokudai.ac.jp
施設サイト
https://www.fsc.hokudai.ac.jp/oshoro/

施設の特徴

忍路湾は石狩湾の湾奥にあり、海水温は一年を通して5~22℃の間にあります。

利用できる付帯施設

実験所・船(定員=5名)

施設を利用した主な教育・研究

教育:

湾内は強風の際にも波浪を生じない環境であるため、様々な無脊椎動物・魚類・海藻類の採集のみならず、各種の飼育実験、海水の測定、プランクトン採集にも適しています。

【小学5・6年生対象】ひらめき☆ときめきサイエンス「海の森の調査隊~おしょろで“こんぶ”の役割を考える~」を開催します

2018年7月3日

「科研費」(KAKENHI)により行われている最先端の研究成果に、小学5・6年生の皆さんが、直に見る、聞く、触れることで、科学のおもしろさを感じてもらうプログラムです。
参加する皆さんが将来に向けて、科学的好奇心を刺激してひらめき、ときめく心の豊かさと知的創造性を育む内容となっています。


プログラムの詳細はこちらから
http://www.jsps.go.jp/hirameki/index.html
日本学術振興会ホームページ「ひらめきときめきサイエンス」で検索


ご不明な点は、下記までお問い合わせください。
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター 学術協力担当
電話:011-706-2572  FAX:011-706-4930

メール:kyoryoku□fsc.hokudai.ac.jp(□をアットマークに置き換えて送信してください)







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忍路臨海実験所所長の四ツ倉典滋准教授が北海道新聞に紹介されました

2016年12月7日

北海道新聞社の掲載許諾期間が過ぎたため、記事の画像は消去いたしました。

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忍路臨海実験所の四ツ倉准教授の研究室ウェブサイトが公開されました

2016年9月27日

忍路臨海実験所の四ツ倉准教授の札幌研究室ウェブサイトが公開されました
https://www.fsc.hokudai.ac.jp/oshoro2/

研究室では、北日本の沿岸域において“海中の森”を形成し海洋生態系のなかで重要な役割を果たす“コンブ”、そして日本の食文化を支える“コンブ”について、多様性研究・保全研究・育種研究を行っています。

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「食糧基地 北海道の水圏環境を学ぶ体験型教育共同利用拠点」として認可され、ホームページを新しく立ち上げました。

2015年12月3日

同じ水圏ステーションである臼尻水産実験所・七飯淡水実験所・忍路隣家実験所が教育関係共同利用拠点「食糧基地 北海道の水圏環境を学ぶ体験型教育共同利用拠点」として認可され、ホームページを新しく立ち上げました。興味のある方はぜひホームページをご覧ください。

食糧基地 北海道の水圏環境を学ぶ体験型教育共同利用拠点

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忍路臨海実験所のウェッブサイトのアドレスが変わりました

2015年6月10日

新しいアドレスはhttps://www.fsc.hokudai.ac.jp/oshoro/です。

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Newsletter #25-3 研究エッセイ

2021年7月6日

水圏ステーション 忍路臨海実験所 四ツ倉 典滋

 北海道の各地沿岸域には豊かなコンブの群落が広がっています。これらコンブは地域の海洋生態系や環境を支えるとともに、食材として長年にわたって私たち日本人の食卓も支えてきました。しかし、近年深刻化する気候変動による環境変化はコンブの生育に影響を与え、将来の分布域が変化することが考えられます。厚岸臨海実験所との共同研究によって、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)が気候の予測や影響評価を行う際に用いるRCPシナリオ(代表濃度経路シナリオ)に基づいて解析すると、天然コンブの分布域は時の経過とともに北上し、温暖化が緩やかに進むシナリオにおいてさえも今世紀末には道内現存種の少なからずについて、その生育適地が北海道から外れる可能性があることが示されました。実際、数年前に我が国のコンブ分布の南限とみなされ、私がよく訪れていた東北地方のある地域のコンブ群落が今日までに姿を消したと伝えられるなど事態は切実です。

知床羅臼の”コンブの森”

 北海道ではコンブ漁獲量のおよそ3分の2が天然採取です。近年の天然漁獲量の減少を受けて、各地で藻場と呼ばれる“コンブの森”を造成するための取り組みが行われています。一方で、総漁獲量の安定を保つために養殖による増産が図られています。しかし、現状の藻場造成はコンブの着生場所作りに重点が置かれており、そこに生えるコンブは自然任せであることが多く、また、養殖においても種苗は天然採取された母藻に依存しているのが実情です。この先もこれまでのように天然コンブを利用できるかどうかわからないことから、天然個体に頼ることなく藻場造成や養殖ができる体制を整えることが求められます。

 そこで、忍路臨海実験所では現存コンブ資源の培養保存に努めており、それら保存株を藻場造成や養殖、育種に活用していくことを目指して研究を進めています。現在のところ道内外から集めた100産地を超える株を無菌状態で保存しています。コンブは、私たちが磯で目にする葉状体(胞子体世代)の状態で維持管理することは難しいのですが、糸状体(配偶体世代)として長期にわたって保管することが可能です。試験管のなかでマリモのような姿をした保存配偶体は、プランクトン孵化水槽を用いた多段培養で高い増殖率を示し、藻場造成や養殖の現場スケールで利用可能であることが分かりました。成熟抑制条件のもとで保管されている雌雄配偶体は、成熟誘導-培養液組成や光条件の変更-を施すことによってそれぞれ卵と精子を形成し、やがて胞子体を作ります。配偶体や胞子体はそれ自体付着能力に乏しく、海底面に置いてやってもすぐに流失してしまいます。そこで、私たちは高分子ゲルやポリマーを媒体としてそれらを海中の着生基質や養殖種苗糸に接着させることを試みています。ゲルのなかにコンブの生長促進物質や、食植動物の摂餌阻害物質を含めることができればより用途は広がり・・・、夢は大きく膨らみます。効率的な成果が得られることはもちろん、如何に安価で取り扱いがし易く、環境への負荷が少ない技術を開発できるのか、挑戦はまだまだ続きます。

コンブ配偶体のカルチャーコレクション

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