厚岸臨海実験所 水圏ステーション

厚岸(あっけし)臨海実験所は、1931 年(昭和6)に開設された。厚岸湾内の東岸に位置する。親潮水域における日本唯一の臨海実験所であり、寒流系生物を主対象とした海洋生態学や生物海洋学の教育研究を行っている。厚岸湾にはオオアマモ・コンブ類など海草・海藻類が繁茂し、魚介類も豊富である。厚岸湾の奧には、汽水湖である厚岸湖、さらには別寒辺牛湿原などの自然豊かな流域が広がる。その環境を生かして、陸域生態系と海域生態系の関連性に関する研究・教育も行われている。厚岸湾の湾口部にある大黒島は無人島であり、海鳥の繁殖地として国の天然記念物に指定され、また、ゼニガタアザラシが生息する。当実験所では、これらの多様なフィールドを対象にしたフィールド研究が所内外の研究者により行われている。教育については、北大理学部の臨海実習、全学1 年生対象の夏期集中一般教育演習、全国の大学生対象の単位互換制の公開臨海実習や他大学の臨海実習、国際フィールド演習等が行われている。平成24 年度から、室蘭臨海実験所とともに文部科学省教育関係共同利用拠点「寒流域における海洋生物・生態系の統合的教育共同利用拠点」として認定されている。付属の愛冠(アイカップ)自然史博物館では道東を中心とした生物資料を展示している。

厚岸臨海実験所
住所
〒088-1113 北海道厚岸郡厚岸町愛冠1
TEL
0153-52-2056
FAX
0153-52-2042
代表メールアドレス
akkeshijimu [アットマーク] fsc.hokudai.ac.jp
施設サイト
https://www.fsc.hokudai.ac.jp/akkeshi/

施設の特徴

総面積約40万平方メートルとなり、海産生物のみならず、鳥獣その他自然生物全般の研究の場としても活用される総合的な海洋生物研究教育施設です。

利用できる付帯施設

外来研究室・大実習室(定員=23名)・小実習室(定員=30名)・食堂・宿泊室(和室2、洋室1、8人用ベット室4)

利用に際して提供できる道具・機器類

実習用正立顕微鏡・実習用実体顕微鏡・分離用超遠心機・高速冷却遠心機 etc

利用に際して提供できる人的サポート

所外の大学・研究機関から希望があった場合は、教育研究用の生物材料の提供・輸送サービスも行っているので問い合わせください。

施設を利用した主な教育・研究

教育:

当実験所においては、国内・国外の研究者や大学院学生、学部学生が研究遂行や実習受講のために来所し、 長期もしくは短期に滞在して研究や実習に従事しています。

研究:

海洋生態学と発生生物学の研究が実験所の教員を中心として行われてきました。 また、国内、国外の研究者が例年数十名、延べ1000人日程度来所・滞在し、海洋生物学はもとより、陸上動植物の生態学、地質学、古生物学など多方面の研究が行なわれています。

施設からのメッセージ

宿泊施設のご案内

詳細は施設にご確認下さい
宿泊定員40名
宿泊室数7室 (2人部屋1室、3人部屋2室、8人部屋4室)
宿泊可能日通年宿泊可能
(土、日、祝日のチェックインの場合は必ず料金を平日に前納すること。)
食事提供の有無有(5月6日~10月31日)
自炊施設の有無
チェックイン時間17:00まで
チェックアウト時間11:00まで
宿泊費用(施設使用料)
※学内教職員・学生が調査研究,実験実習のために利用する場合は無料
和室   夏期 500円/泊( 5月1日~10月31日)
和室   冬期 560円/泊(11月1日~ 4月30日)
洋室   夏期 470円/泊( 5月1日~10月31日)
洋室   冬期 550円/泊(11月1日~ 4月30日)
ベッド室 夏期 310円/泊( 5月1日~10月31日)
ベッド室 冬期 370円/泊(11月1日~ 4月30日)
宿泊費用(実費)食事代:朝食300円、昼食550円、夕食670円
寝具クリーニング代 和室洋室 670円、ベッド室 550円(1滞在当たり)
その他雑費 110円(1泊当たり)

和室2人部屋

ベッド室8人部屋

食堂

外観

プレスリリース 地球温暖化により北日本のコンブが著しく減少する可能性を予測

2019年10月30日

水圏厚岸臨海実験所の仲岡雅裕教授らの研究が本学のプレスリリースで発表されました。 https://www.hokudai.ac.jp/news/191029_pr.pdf

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厚岸・室蘭臨海実験所の「寒流域生物の統合的教育共同利用拠点」のウェブサイトが開設されました

2014年4月25日

厚岸・室蘭臨海実験所の「寒流域生物の統合的教育共同利用拠点」のウェブサイトが開設されました

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Newsletter #24-1 マイクロプラスチックが海洋生物に与える影響の研究

アマモ場に生息するアミ(Neomysis sp.)

2020年12月21日

水圏ステーション 厚岸臨海実験所 仲岡 雅裕

 プラスチックごみによる海洋汚染は世界中で進んでおり、2050年には世界の海のプラスチックごみの量は魚よりも多くなるとも予想されています。プラスチックごみが海洋生物に与える影響については、打ち上げられた海洋哺乳類や海鳥の胃から大量のプラスチックが見つかったり、ウミガメがプラスチックごみを誤飲して苦しんでいる映像などにより、その深刻性が広く認識されるようになってきましたが、それだけにはとどまりません。海に漂うプラスチックごみは紫外線や波、生物などによって細分化され、粒径が5 mm 以下のサイズになったものは「マイクロプラスチック」と呼ばれます。マイクロプラスチックはさまざまな小型の海洋動物に負の影響を与えることが明らかになりつつあります。

アマモ場に浮かぶプラスチックごみ(レジ袋)。長谷川貴章氏撮影。
写真1. アマモ場に浮かぶプラスチックごみ(レジ袋)。長谷川貴章氏撮影。

 厚岸臨海実験所では、マイクロプラスチックが海洋ベントス(底生動物)に与える影響に関する研究を2014年より続けています。これまで、イソタマシキゴカイ、キタノムラサキイガイ、キタイワフジツボなどさまざまな海洋ベントスを対象に、飼育水槽実験によりマイクロプラスチックの影響を評価する実験を行ってきました。その結果、マイクロプラスチックがベントスの摂食率や成長率、生存率に与える影響は、対象生物や季節により大きく変異することがわかってきました。その影響は、特に水温や海洋の懸濁物量などの条件に左右されることから、今後、水温上昇や富栄養化などの他の環境ストレスの変化と相互作用して、より深刻化する可能性も考えられます。

 石油製品であるプラスチックは化学的親和性からPCBやPAHに代表されるPOPs(残留性有機汚染物質)を吸着するとともに、臭素系難燃剤や紫外線吸収剤などの添加剤と呼ばれる多様な化学物質を含んでいます。これより、海洋ベントスはマイクロプラスチック自身が及ぼす物理的な影響だけでなく、化学物質にさらされる影響も同時に受けていることが指摘されています。さらに、二枚貝類や小型甲殻類などの無脊椎動物はより大型の海洋動物の餌となっており、食物連鎖を通じてマイクロプラスチックや化学物質が魚類や海鳥類などの高次消費者に移行し影響を与える可能性があります。この問題を明らかにするため、私たちは厚岸のアマモ場に生息するアミという小型甲殻類とシモフリカジカという底生魚類を用いた飼育実験に取り組んでいます。ここまでの結果では、シモフリカジカは水中から直接摂取するよりはるかに多くのマイクロプラスチックを餌であるアミを通じて取り込むこと、さらにアミが消化管内でマイクロプラスチックを破砕することにより、より小型になったマイクロプラスチックがシモフリカジカに取り込まれることがわかりました。現在は、添加剤を含むマイクロプラスチックを取り込んだアミをシモフリカジカに摂食させることにより、シモフリカジカ体内の化学物質各種の蓄積状況を調べる実験を実施中で、これにより食物連鎖を通じたマイクロプラスチックの海洋生物群集への影響を明らかにしていきたいと考えています。

写真2. アマモ場に生息するアミ(Neomysis sp.)。体長は1 cm程度。長谷川貴章氏撮影。
写真3. マイクロプラスチック(蛍光ビーズ)を取り込んだアミ。蛍光ビーズが取り込まれた胃の部分を白丸で示す。長谷川貴章氏撮影。

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ワールドクリーンアップデー

2019年9月2日

9月21日に厚岸臨海実験所主催の海岸清掃イベントを開催します。ご興味のある方は、worldcleanupday.akkeshi@gmail.comに代表者氏名と電話番号、参加人数をお知らせください。

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