静内研究牧場 耕地圏ステーション

静内研究牧場は、1950 年(昭和25)、大蔵省から農林省新冠種畜牧場より林牧馬役80 頭および林間放牧地の所管換を受け、農学部日高実験農場として発足した。札幌から150km、JR 日高線静内駅から北東約 16km の日高山脈の西側山麓、新ひだか町に位置する。森林330ha、草地130haを含む470haの土地に、牛約150頭(肉用牛)、馬約100頭(北海道和種馬、乗用馬および軽種馬)を飼養し、大学の研究牧場としては最大の規模を持っている。牧場は、森林、草地、耕地、水系などを含めた一つの傾斜地生態系をなしており、家畜生産に関する総合的な教育・研究の場となっている。現在は、狭義の家畜生産のみならず、牧場をとりまく生態系を構成する、水、土壌、気象動植物などを含めた総合的な研究を推進している。また、専門教育のみならず、教養教育としての自然教育・農業教育の場としても活用されている。

静内研究牧場
住所
〒056-0141日高郡新ひだか町静内御園111番地
TEL
0146-46-2021
FAX
0146-46-2927
代表メールアドレス
shizunai[アットマーク]fsc.hokudai.ac.jp
施設サイト
https://www.fsc.hokudai.ac.jp/lf/

施設の特徴

330haの林間放牧地を含む総面積470haの広大なフィールドで、100頭の北海道和種馬と200頭の日本短角種牛を飼養している。

利用できる付帯施設

宿泊施設(最大46名まで宿泊可)

利用に際して提供できる道具・機器類

バギー数台、電気牧柵一式

利用に際して提供できる人的サポート

技術職員7名

施設を利用した主な教育・研究

教育:

・牧場実習(畜産科学科):冬季1週間(2年次第2学期終了直後)、夏季2週間(3年次夏季休業直後)
・全学教育科目集中講義「牧場のくらしと自然」:夏季1週間

研究:

・森林下草資源を利用した北海道和種馬の飼養管理~森林内での採食量、採食行動と利用場所、植生に対する影響~
・ヒトに対するウマの反応、行動
・群飼養しているウマの社会構造
・放牧を主体とする日本短角種牛生産
・ウマとウシの放牧が草地および森林生態系に及ぼす影響
・草地・飼料畑における炭素および窒素収支
・甲虫の体色と捕食寄生者との関係

施設からのメッセージ

日高山脈の西側山麓、新ひだか町静内に位置する研究牧場は、森林330ha、草地130haを含む470haの土地に、肉用牛約200頭(日本短角種)、馬約100頭(北海道和種馬、乗用馬)を飼養し、国立大学の牧場としては最大の規模を持っています。
本牧場は、森林、草地、耕地、水系等を含めた一つの傾斜地生態系をなしており、家畜生産に関する総合的な教育研究の場となっています。また、狭義の家畜生産のみならず、牧場をとりまく生態系を構成する水、土壌、気象、動植物などを含めた総合的な研究を推進しています。さらに、専門教育のみならず、教養教育としての自然教育・農業教育の場としても、大きな家畜群を有する牧場の広大なフィールドを、様々な分野で是非有効活用していただきたいと思います。

耕地圏ステーション体験プログラムの募集

2021年7月12日

北海道大学の、牧場・農場で家畜飼養の多様性を学ぶ​ & 博物館で地域先住民族の伝統的文化の多様性を学ぶプログラムです。

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静内研究牧場がBSジャパンで紹介されます

2015年10月1日

10月17日(土)17:30~18:00にBSジャパ ンで「にっぽんの在来馬 北海道和種馬 どさんこ」が放送されます。静内研究牧場の河合牧場長と管理運営アドバイザーの近藤誠司先生のインタビューの他、静内研究牧場の様子も放送されます。

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耕地圏ステーション静内研究牧場の近藤牧場長が、北海道知事より感謝状が授与されました。

2015年3月10日

耕地圏ステーション静内研究牧場の近藤牧場長が、北海道知事より感謝状が授与されました。授与内容についてはこちらから

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Newsletter #24-2 草でウシを飼う

2020年12月22日

耕地圏ステーション 静内研究牧場 河合 正人

 2021年、来年は丑年です。

 当センターでは2種類のウシが飼われていること、皆さんはご存じでしょうか。ひとつは札幌キャンパス内、生物生産研究農場で飼われているホルスタイン種です。酪農王国・北海道ではもっともたくさん飼われている、牛乳や乳製品の広告やコマーシャルでもよく目にする、白黒のあのウシです。もうひとつは静内研究牧場で飼われている肉用牛、日本短角種という品種のウシです。

写真1. 繁殖パドック:3月から5月にかけて毎年40頭前後の子牛が生まれてくる。

 日本短角種は和牛のひとつです。和牛といえば黒毛和種、と思われる方が多いでしょう。黒毛和種が和牛であって、他に和牛なんているの?という方もいるかもしれません。和牛とは、黒毛和種、褐毛和種、無角和種、日本短角種の4品種と、それらの交雑種のことを指します。現在、国内で肥育されている和牛の90%以上が黒毛和種ですから、和牛イコール黒毛、と思われても仕方ないかもしれません。が、このエッセイを読んでいただいた方には、是非、和牛には4つの品種があること、黒毛だけが和牛じゃない、ということを覚えていただければと思います。

 さて、日本短角種ですが、明治のはじめアメリカから輸入されて現在の岩手県に貸付されたショートホーンという肉用種を、旧南部藩の在来種南部牛に交雑したものが基になっています。現在は7,700頭余りが岩手県、秋田県、青森県、北海道を中心に飼養されており、そのうち1/4ほどの約1,900頭が北海道で飼われています。日本短角種の最大の特徴は粗飼料の利用性に富むことで、また放牧適正も高く、粗放な放牧でも野草を採食する能力が優れているとされています。粗飼料とは畜産用語で、草類、青刈り飼料作物、わら類などを指し、そこから調製した乾草やサイレージ(発酵飼料)など貯蔵飼料も含む、繊維成分が多い飼料のことです。対語として、繊維が少なくでんぷんやタンパク質など栄養濃度の高い飼料を濃厚飼料と呼び、穀実類、油粕類、ぬか類などがあります。つまり、日本短角種は、給与するエサを穀物に頼らなくても、草で飼うことができる品種なのです。

写真2. 親子放牧:5月から10月まで牧草放牧地に親子で終日放牧。 そのうち6~8月は種雄牛1頭を群れに入れて 自然繁殖させる。

 草でウシを飼う、当たり前じゃないか! と思っていませんか? ウシは、ウマやヒツジ、ヤギなどと同じ草食動物です。草を食べる動物なんだから草で飼う、というのは、実は今の日本では当たり前ではないんです。

 たとえば黒毛和種、生まれてから28カ月程度で体重700~750kgまで育ててお肉にするのに、一般的には濃厚飼料を4~6t与えます。ホルスタインの雄は、当然牛乳を出しませんから(去勢して)お肉にするのですが、もともと黒毛より体格が大きく、成長も早いので21カ月齢で750~800kgを目標に肥育し、この時やはり1頭あたり5~6tの濃厚飼料を与えます。ここに書いた重さはウシの体重であって、お肉の量ではありません。体重が750kgのウシからとれる精肉の量は200kgからせいぜい250kgほど。つまり、250kgの牛肉を生産するのに、その20倍、5tもの濃厚飼料を使っていることになります。しかもこの濃厚飼料、ほとんどが海外から輸入された穀物ですから、日本の食料自給率が低い原因として、輸入穀物に頼っている畜産の分野が最も悪者扱いされることも、ある程度は納得せざるを得ないでしょう。

 だからこそ、草で飼える家畜を草で飼う、という、ウシを家畜として飼う最大のメリットを、あらためて考えたいと思っています。ヒトが利用できない草を、ヒトが利用できる肉や乳に変えてくれる、という、ウシが持つすばらしい能力を最大限に発揮させること、静内研究牧場、そして生物生産研究農場も同じですが、我々が行なっている教育研究の原点はここにあります。

写真3. 子牛パドック:10月末日に離乳した子牛は翌春まで屋外パドックで粗飼料主体で飼う。

 黒毛和種に濃厚飼料を多給する飼養方式を、否定するわけではまったくありません。穀物飼料を多く与える黒毛和種の肥育方法は、日本人が編み出した、日本人の嗜好によく合う高級霜降り牛肉を生産するための、非常にすばらしい飼養技術です。一方で、穀物由来の飼料を極力与えないで、ウシが利用できる草を主体として生産した牛肉があってもいいのではないか、という提示です。草でウシを飼えば、穀物で飼う場合に比べて成長させるのに時間がかかります。生の牧草を食べると脂肪の色が黄色くなり、日本の規格では格付けが下がります。放牧地で運動すると肉は硬くなりますし、こうした飼い方ではもちろん霜降りなどほとんど入りません。しかし、高級な霜降り黒毛和牛とは対極にある牛肉として、静内研究牧場の日本短角種は春から秋までは放牧のみ、放牧に出せない冬の間も、場内で収穫した牧乾草と飼料用トウモロコシのサイレージを中心に与え、冬季および肥育時に給与する濃厚飼料の量も、我が国で肉用牛に与えられている一般的な量の1/4~1/5程度にまで減らしています。

写真4. 育成群:翌5月から10月までは再び牧草放牧地で終日放牧。
写真5. 肥育パドック:2夏目の放牧を終えた後、30カ月齢750kgを目標にして、穀物由来飼料は極力減らして肥育する。

 こうした特色ある飼い方で生産した静内研究牧場の日本短角種が、牛肉本来の旨味を味わうことのできるジューシーでヘルシーな牛肉として市民権を得られるよう、また日頃皆様の食卓に並んでいる畜産食品にも目を向けていただき、少しでも食について考えるきっかけとなってくれるよう、今後も教育研究に加え、普及にも力を入れていきたいと思っています。

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