7月18日、アメリカ・テキサスA&M大学より豊永健太郎氏をお招きし、同州にある世界最大級の牧場「Kings Ranch(キングスランチ)」に関するご講演をいただきました。

キングスランチは、牧場を核として町が形成され、大学の研究所や民間企業と連携しながら、牛の肥育、観光業、人材育成など多角的に展開されています。その都市形態は、畜産業との密接な関係の中で独自の発展を遂げてきました。伝統的な牧畜文化を基盤としながらも、現代の産業ニーズや環境配慮を取り入れた都市計画へと進化しています。畜産業と都市生活の調和を図るテキサス州の取り組みは、農業と都市の共存モデルとして、北海道白老町の地域開発にも大きな示唆を与えてくれます。今回の講演では、単なる施設や制度の紹介にとどまらず、「暮らしと産業が共に根付く場」をいかに築いていくかという視点から、未来の地域づくりのヒントが数多く語られました。

私たちがこの講演を通じて伝えたいのは、畜産業を“産業”としてだけでなく、“まちづくり”や“ライフスタイル”の一部としてとらえる発想の重要性です。そして何よりも、これからの地域を担っていく若い世代、Z世代の皆さんにこそ、こうしたモデルに触れ、自らの手で新たな畜産の形や地域社会のあり方を描いてほしいという想いが根底にあります。

白老町でも、自然と共生しながら新しい価値を創り出すまちの姿を、一人ひとりが自由に想像し、実践していくことができます。今後もこのような学びと交流の機会を継続的に設け、国内外の先進事例から多くを学びながら、白老ならではの「未来の畜産とまちづくり」の可能性を広げていきたいと考えています。