2025年6月20日、白老町のThe Old Grey Breweryにて、畜産をテーマとしたミニイベントを開催しました。 このイベントは、「次世代和牛生産システム構築拠点」の取り組みの一環として、町民や町内企業の皆さま、そして今後プロジェクトを共に進めていくステークホルダーとなる方々をお迎えし、より広い視点から“共創”の可能性を探る場となりました。

ゲストには、ドトールコーヒー創業期の商品開発や焙煎工場長として活躍し、現在も食領域で新たな価値を創り出し続けている丸山和俊氏をお招きしました。丸山氏からは、「食」という誰にとっても身近なテーマを切り口に、ものづくりの原点や、食が持つつながりの力について貴重なお話をいただきました。


食の未来を創り続ける、情熱の職人—丸山和俊氏とは
ドトールコーヒー創業期、商品の礎を築く開発を手がけ、焙煎工場長としてその味と品質を支えてきた丸山和俊さん。彼の手によって誕生した数々のプロダクトは、日本のカフェ文化を大きく前進させました。
また、丸山氏は、明治時代の横浜で生まれた幻のケチャップ「清水屋ケチャップ」を、150年以上の時を経て復活させた人物としても知られています。昔の味を懐かしむ地域の声に応え、当時のレシピを探し当て、製造機械を一から整備し直すなど、粘り強く情熱を注ぎぐことで「清水屋ケチャップ」の復刻を実現しました。その取り組みには、単なる商品開発にとどまらない、地域への深い思いと食文化への敬意が感じられます。
現在もなお、「食」という無限のフィールドにおいて、商品開発の最前線に立ち続ける丸山さん。その探究心と創造力は、年齢を重ねてもなお進化を止めず、業界の多くの人々にインスピレーションを与えています。
そんな丸山さんに今回のイベントで、ご自身の経験をもとに、ものづくりにおける信念や、ヒット商品を生み出すための発想力、そして「食」にかける想いについて、熱く語っていただきました。その一言ひとことには、長年現場で培われた知恵と、未来への希望が込められていました。


そして、さらにこの日は、日本の食文化を世界に広める情熱を持つ女性寿司職人であり、起業家である小瀧由貴さんも急遽参加してくださいました。国内外で寿司職人として活躍し、多数の国際イベントや講演を通じてその技術を披露している小瀧さんは、独自のブランド力を活かして、次世代寿司文化を象徴する「薬膳サーモン」の開発に取り組んでいます。
「薬膳サーモン」とは:https://www.bktc.co.jp/yakuzen-salmon.html
「薬膳サーモン」は、北海道白老町の自然豊かな環境で、漢方薬膳の知識を応用した独自の餌で育てられた高品質なサーモンです。魚特有の臭みが少なく、どんな料理にも合う上、美容と健康にも配慮されています。また、このサーモンは機能性表示食品として血中尿酸値の上昇抑制が期待され、現代の食生活に合わせた選択肢として注目を集めています。無理なお願いにも関わらず、現地で試食のお寿司を握って頂きました。


「おいしさ」から始まる未来のまちづくり
大学・企業・行政・地域住民、それぞれの立場を超えて、「おいしさ」を共通の言語に、環境や持続可能な畜産の未来について語り合うひととき。会場に広がったのは、柔らかくも確かな“共創”の兆しでした。「途中であきらめるから失敗になる。途中であきらめなければきっといつかは成功する」——丸山さんのシンプルだけど真っ直ぐなその言葉が、静かに、そして深く心に沁みわたりました。
——その瞬間、参加者一人ひとりの中に、「自分たちにも何か新しいことができるかもしれない」という小さな希望が、確かに芽生えました。
小さな出会いと対話から生まれたこの時間は、「街をつくる」という一見大きすぎるテーマを、ぐっと身近なものにしてくれました。 誰かの想いや挑戦を、みんなで支える。 一人の歩みでは辿り着けない景色も、手を取り合えばきっと見えてくる。
白老の地に芽吹いたこの小さな一歩が、未来への確かな軌跡となり、 そして、それぞれの「やってみよう」が、やがて街の形をつくる大きな共創となることでしょう。





