2026年5月16日から17日にかけて、佐賀県鹿島市にて本拠点の学生および将来の教育現場を担う福岡教育大学の教員養成課程の「先生の卵」たちに、畜産の先端技術と命の営みの両面を体感してもらいました。将来の教育現場を担う学生たちに、畜産現場での体験的な学びを提供し、先端技術と生命を育む営みの両面に触れてもらうことで、食や農、地域社会への理解を深める機会となりました。


先端技術が変える「農のカタチ」を体感

初日は、佐賀県鹿島市に設置されている「個体識別遠隔自動給餌機」のデモンストレーションを行いました。この装置は、スマホ一つで遠隔地から特定の牛に餌を与えられるだけでなく、牛を容易に捕獲(保定)することを可能にします。

実際に、現地の農家さんが毎朝自宅からスマホを操作して給餌を行っている様子を目の当たりにし、学生たちは驚きの声を上げていました。また、放牧地に設置されたカメラを通じて牛の状況をリアルタイムで確認できるシステムなど、AIやIoTを活用したスマート畜産技術が、いかに農家の負担を軽減し、新しいライフスタイルを創出できるかを学びました。

「土・草・牛」の循環を学ぶ草地管理

続いて、農研機構の池田先生を講師にお招きし、放牧の基盤となる草地管理の実習を行いました。どこに種をまくべきか、牛が食べない「不食過繁地」(放牧草地において、同一種類の家畜が排糞した後や草が老化した結果、家畜が食べないエリア)を利用した種まきといった実践的な知識を学び、実際に自分たちの手で種まきを行いました。「ウシは大地を耕すバイオリアクターである」という拠点哲学の通り、適切な草地管理が持続可能な畜産の根幹であることを、土に触れながら実感しました。

「命の営み」に触れる、二日目の感動

二日目には、さらに踏み込んだ実習として牛の体のつくりを学んだあと、牛の直腸検査に挑戦しました。特に母牛の直腸検査をした学生たちは、母牛のお腹の中にいる子牛の足に直接触れ、力強い生命の鼓動を指先で感じました。これは単なる「技術の習得」ではなく、私たちが口にする食べ物の背景にある「命の営みの尊さ」を深く心に刻む体験となりました。

また、放牧地に自分たちで牧柵を整備し、牛を放牧する作業を通じて、動物と環境が一体となって管理される現場の苦労と喜びを共有しました。


本拠点が目指す「学び」の重要性

今回の実習を通じて、デジタル技術を使いこなしながらも、五感を使って自然や命と向き合うことの重要性が改めて示されました。

福岡教育大学の学生たちは、将来「技術・家庭科(生物育成)」などの授業を通じて、次の世代の子どもたちに食と環境の価値を伝える役割を担います。彼らが今回の実習で得た「科学的視点」と「命への共感」は、本拠点が目指す、デジタルネイティブ世代が先導する循環社会の実現に向けた、極めて重要な人材育成の種となります。

本実習を通じて、将来の教育現場を担う「先生の卵」たちに、食や農、畜産の価値を伝えることの重要性と、その学びが次世代へ広がっていく可能性を強く感じることができました。本拠点は今後も、地域を学びのフィールドとして活用しながら、多様な主体が連携する教育プラットフォームの構築と次世代人材の育成に取り組んでまいります。