寺田千里のページ
(2011年4月1日現在)

自己紹介
私は、南日本の島嶼に生息するニホンジカを対象に研究を進めています。これまでの研究で、南日本の島嶼に生息するニホンジカの足の長さは島ごとに異なり、屋久島に生息するシカの足の長さは、他の島個体群に比べて顕著に短いことが分かりました。この現象は、島の環境の違いによって足の長さの遺伝形質が分化した局地適応の結果ではないかと仮説を立てています。博士後期課程の研究では、この仮説を検証し、九州及び周辺島嶼に生息するニホンジカについて、足の長さの進化と維持の機構を理解することを目的としています。この研究によって、これまで行われてこなかった大型哺乳類の適応進化の理解に対する貢献、そして、九州周辺のシカ個体群の保全学的価値を評価するという応用への貢献を目指しています。これまでに、1)足の長さの変異に関する遺伝的基盤の実証(擬似操作実験)、2)足の長さに関する自然選択の検出(集団遺伝学的研究)に関して研究を進めています。
mail:cterada(at)fsc.hokudai.ac.jp
業績
修士論文 (2009年3月)
Evaluation of endemism of the sika deer (Cervus nippon) in Yakushima based on morphological characteristics: in comparison with related island populations.
原著論文
寺田千里, 立澤史郎, 川村貴志, 藤岡正博 (2010) ヤクシカの餌場としての林道脇植生の評価. 保全生態学研究 15 : 193-201
学会発表
1)寺田千里, 立澤史郎, 川村貴志, 藤岡正博. ヤクシカの餌場としての林道:食物現存量からの評価. 第54回日本生態学会, 愛媛, 2007年3月. ポスター発表
2)寺田千里, 立澤史郎, 川村貴志, 藤岡正博. ヤクシカの餌場としての人工林と林道 〜食物現存量と食痕数の季節変化から〜. 日本哺乳類学会2007年度大会, 東京, 2007年9月. ポスター発表
3)上條隆志, 平田晶子, 川越みなみ, 寺田千里, 仲山真希子, 濱甚吾, 菊池健. 伊豆諸島八丈小島におけるノヤギ駆除事業開始後の植生回復状況. 第55回日本生態学会, 福岡, 2008年3月. ポスター発表
4)寺田千里, 立澤史郎, 齊藤隆. 屋久島に生息するニホンジカの形態的特徴. 日本哺乳類学会2008年度大会, 山口, 2008年9月. ポスター発表
5)寺田千里, 立澤史郎, 齊藤隆. 形態的特徴に基づいた屋久島に生息するニホンジカの固有性の評価:周辺6島嶼個体群の比較. 日本生態学会北海道地区会,札幌, 2009年2月. 口頭発表
6)寺田千里, 立澤史郎, 齊藤隆. 屋久島のシカは短足か? ―島嶼個体群間での形態比較―. 第56回日本生態学会, 岩手, 2009年3月. ポスター発表
7)寺田千里, 齊藤隆. ニホンジカの形態変異に関する遺伝的基盤の実証:動物園個体を用いた疑似コモンガーデンテスト. 第16回野生生物保護学会・日本哺乳類学会2010年度合同大会, 岐阜, 2010年9月. ポスター発表
8)寺田千里, 齊藤隆. 屋久島に生息するシカ個体群の形態形質に関する局地適応の検出. 第26回個体群生態学会・大会 2010, 神奈川, 2010年9月. ポスター発表
9)寺田千里, 齊藤隆. ニホンジカの形態形質と分子マーカーを用いた局地適応の検出:屋久島個体群に着目して. 日本生態学会第58回大会, 北海道, 2011年3月. ポスター発表
10)山田敏也, 寺田千里, 竹川聡美, 宇野裕之, 齊藤隆. 北海道・渡島半島のエゾシカ個体群で発見された特異的なmtDNAハプロタイプについて. 日本生態学会第58回大会, 北海道, 2011年3月. ポスター発表
受賞
日本生態学会北海道地区会, 奨励賞受賞, 2009年2月
第26回個体群生態学会・大会2010, ポスター賞 敢闘賞受賞, 2010年9月