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2011年度卒業研究実習成果発表

2012年2月1日に北大理学部5号館にて生物科学科(生物学)の卒業研究ポスター発表会が行われました. 本研究室からは,2名の4年生が参加し1年間の研究成果を発表して来ました.

2人の発表要旨とポスターは下記をご参照ください.

「アマモ場の一次生産に対するトップダウン・ボトムアップ効果」 青江翔太郎

植物の現存量を決める要因として(1)栄養塩などの資源の制約(ボトムアップ効果),(2)植食者による消費(トップダウン効果)が着目されてきた.

特にアマモの大群落(アマモ場)においては,植食者がアマモ表面に住む付着藻を捕食によるトップダウン効果,栄養塩による付着藻とアマへの ボトムアップ効果が知られている.それに加えて付着藻がアマも表面につくことでアマモの光合成を阻害するネガティブな効果もあるとも言われ, アマモ場の生態系は複雑な関係性の上に成り立っていることが知られている.

このようなアマモ場のトップダウン・ボトムアップ効果の検証はメソコスムや研究室での人工的に再現された生態系においてが殆どであり, 野外での検証であってもケージを使用した実験のみでしか検証されておらず,野外の自然状態に近い環境での検証は行われていなかった.

そのため,本研究では野外で実験での実験をCarbarylという殺虫剤を用いることで植食者の量を操作し,自然状態に限りなく近い環境で アマモ場の生態系内の一次生産者に対するトップダウン,ボトムアップ効果の評価を試みた.

具体的なリサーチクエッションとして以下2つを設定した.
(A) アマモ場のトップダウン効果とボトムアップ効果は地域により,どう異なるか
(B) 植食者の種数・均等度・個体数はアマモ場の一次生産者(付着藻・アマモ)にどのような影響を与えるのか

調査地は広島県の生野島と北海道道東域の厚岸湖の2つの藻場を設定し,調査はアマモのバイオマスとMesograzerのバイオマスが最も大きくなると 思われる夏場(広島2011/5/27~2011/6/30 北海道 2011/8/1~2011/8/30)に行った.

青江翔太郎ポスター

pdfでの閲覧はこちら(2.44MB).

「厚岸湖におけるオオハクチョウのアマモ場利用様式」 斉藤勝也

北海道東部の太平洋側に位置する厚岸湖は,国内有数のオオハクチョウの渡り中継地・越冬地であり,北海道で有数のアマモ場でもある. 北海道のアマモ場は多くのガンカモ類の渡り中継地・越冬地としても利用されており,全国規模の渡り中継地・越冬地のガンカモ類調査により, 数のモニタリングが行われているが,それぞれの中継地・越冬地内での分布状況については評価されていない.

厚岸湖では厚岸水鳥観察館の職員により,2002年から湖内でのオオハクチョウの分布が記録され続けており,アマモ場についても衛星写真と 現地調査を統合した研究が行われている.地理情報システム(GIS)を用いてこれらのデータを統合し解析することで,オオハクチョウの分布と アマモ場の分布を含めた環境要因との関係性を調べることが可能である.

本研究では,厚岸湖内のどのような場所をオオハクチョウが利用しているかを明らかにすることを目的とし,オオハクチョウの利用場所決定について, (1)採餌のしやすさ(水深)と資源量(アマモ量)のどちらが重要か,(2)湖面の結氷による影響を受けるかという2点に着目して解析を行った.

その結果,結氷前ではアマモの量によらず岸沿いかつ水深の浅い所がよく利用されており,結氷後ではアマモ量の多いところがよく利用されていた.

斉藤勝也ポスター

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