お知らせ・トピック 森林圏ステーション

雨龍研究林の自然共生サイト認定証授与式がおこなわれます

2023年10月24日

2023年4月から環境省による自然共生サイト認定制度の本格運用が開始されたことを受け、雨龍研究林(24,953ha)は認定申請を行い、10月6日に生物多様性の保全に貢献している区域として「自然共生サイト」の認定を受けました。これにより10月25日に東京で授与式がおこなわれ、認定証授与式の様子が以下URLにてオンライン配信予定ます。

認定証授与式(youtube.com/live/1oy9cLjOpIY?feature=share)

本学プレスリリース(10/10) 雨龍研究林が自然共生サイトに認定

環境省ウェブサイト雨竜研究林の認定サイトの詳細

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北の森林サイエンスカフェを開催します

2023年4月21日

SPEAKERS
かごあみ 絲さん
「かご編む暮らしを編む」
福澤 加里部 さん
(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 准教授)
「人と川とササと―脇役が担う森のはたらき」

日時:2023.5.20 (SAT) 14:00-15:00 (CAFE OPEN 13:30)

会場 : 北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター北管理部 (名寄市徳田250)
会費:入場無料
定員30名 (5.12までに参加申し込み必要)
参加申込フォーム
参加申込先: 北の森林サイエンスカフェ事務局
電話:01654-2-4264
メール: uru-jim@fsc.hokudai.ac.jp

“ サイエンスカフェ” は講演会やシンポジウムとは異なり専門家と一般の方が気軽に科学について語り合う場です昨年度から年に数回開催しています 

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苫小牧研究林のクラウドファンディングに心強い応援団が!

2023年3月17日

苫小牧研究林で始まったクラウドファンディングに、ゴールデンカムイ作者の野田サトルさんが応援イラストを描いてくださいました。

クラウドファンディングの目的は、貴重かつ豊富な資料を誇る森林資料館と森林記念館を、毎月最終金曜日にしか公開出来ないものを土日公開するためのものです。

目標額150万円で
森林資料館と森林記念館の休日開館(4-10月)
森林資料館の展示の改良
樹木園の案内板のデザインと再設置

210万円で
森林資料館と森林記念館の休日開館(11-3月も開館し通年開館へ)

300万円で
森林資料館の展示物の燻蒸作業

実は資料館にとってこの燻蒸作業はとても重要で、資料を虫食いやカビから守る大切な作業です。人の出入りが多くなるほどこれらのリスクが増えるのも事実なのです。

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苫小牧研究林でクラウドファンディングを始めました

2023年3月1日

苫小牧研究林では3月1日から31日まで、クラウドファンディングを実施することになりました。目標金額は150万円となっております。いただきました寄付は、敷地内にある博物館(森林資料館と森林記念館)の週末開館(これまで月に1回平日のみ開館)、さらには樹木園エリアの整備費用に充てさせていただく予定です。

是非ともこの機会に苫小牧研究林の魅力を理解していただき、みなさまの温かいサポートをお願いいたします。

苫小牧研究林の魅力を伝えたい!〜資料館の休日開放と散策路の整備〜

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森林圏ステーション北管理部でサイエンスカフェがおこなわれます

2022年11月4日

森林圏ステーション北管理部では、高校生〜ー般社会人向けイベント「北の森林(もり)サイエンスカフェ」をおこないます。

宮地 鎮雄さん
「中川町産オニグルミ材の家具作り
丸太で全量買い取りを始めて変わったこと」
(工房宮地 代表)

小林 真 さん
「土によって変わる木材の色」
(北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター 准教授)

2022.11.24 (THU.) 18:00-19:00(CAFE OPEN 17:30)
会場 : 北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター
北管理部 (名寄市徳田250)
入場無料
定員30名 (11.17までに参加申し込み必要)

https://boreal-forests-science-cafe.weebly.com/

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札幌の木、北海道の椅子展開催中です

2022年6月10日

札幌研究林では、跨道橋撤去のために伐採された木を材料に、12組の家具作家による椅子の製作がおこなわれました。この展示は「アノオンシツ」のプロジェクトの一環で、単に椅子を作ってもらうだけでなく、作家と12人の研究者のトークを通じて、椅子を起点に森や木にとどまらず多彩な視点でのトークが行われました。

椅子はギャラリー創で展示されていて、札幌研究林のアノオンシツではトークについての展示と、写真家柿本拓也さん撮影のディスクの写真が展示されており、また戸外では今回使われたイチョウとアカナラの生えていた場所にそれぞれのディスクを展示しています。

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北管理部でサイエンスカフェを行います!

森林圏ステーション北管理部(名寄)では、北の森林サイエンスCAFEをおこないます。

  • 2022.7.1(金) 14:00-15:30(13:30会場)
  • 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター北管理部(名寄市徳田250)
  • 入場無料
  • 定員30名(6月24日までに参加申込み必要)

お申し込みはこちら

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都市は地球規模で植物の進化を促す

2022年3月23日

森林圏ステーション南管理部の内海介准教授、安東義乃学術研究員が参画する国際共同研究チームGLUE(Global Urban Evolution Project)は、都市化が地球規模で生物進化に影響を与えていることを明らかにしました。

本研究成果は,2022年3月18日(木)公開のSCIENCE誌にオンライン掲載されました。

論文名:Global urban environmental change drives adaptation in white clover(都市化は地球規模でシロツメクサの適応進化を促進する)
URL:https://www.science.org/doi/10.1126/science.abk0989

詳細は本学プレスリリースでご覧ください

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水の満ち引きが多様な生物の共存を実現

2021年12月14日

 宇野裕美 京都大学生態学研究センター特定准教授、横井瑞士 同修士課程、福島慶太郎 同研究員、菅野陽一郎 コロラド州立大学准教授らは、当センターの岸田治准教授、内海俊介准教授、同雨龍研究林の職員・スタッフらと共に研究林内の希少な天然氾濫原において研究を行い、河川の氾濫が氾濫原生態系の生物多様性を維持する上で重要であることを示しました。本成果は、2021 年 12 月 10 日に国際学術誌「Freshwater Biology」にオンライン掲載されました。

詳細は本学プレスリリースでご覧ください

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「つくば/東京/北海道3元生中継ラボツアー」参加者募集のお知らせ

2021年7月9日

国立環境研究所のオンライン一般公開事業で、天塩研究林の温暖化実験がライブ中継される予定です。
ぜひ登録してご参加ください。

【日時】7/17(土)14:00~15:15

【対象】小学校高学年以上

つくばの国立環境研究所と、東京スカイツリー、北海道(天塩)に設置されている地球環境観測サイトからZoomで生中継を行います。

第一線の研究者が、温室効果ガス等の観測現場の様子や、その研究内容をわかりやすく解説するラボツアーです。ぜひご参加ください。

応募フォームは下記HPにあります。

https://www.cger.nies.go.jp/ja/news/2021/210628.html

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本センター森林圏ステーションの教員公募(教員1名、准教授または助教2名)を開始しました

2020年5月22日

生物群集生態領域 教員(教授)の公募について

共生生態系保全領域 教員(准教授または助教)の公募について

生物群集生態領域 教員(准教授または助教)の公募について

2020年6月30日必着

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2020年1月9日(木)~10日(金)に、森のたんけん隊2020冬を実施しました。

2020年1月27日

森のたんけん隊2020冬は、2020年1月9日(木)~10日(金)の1泊2日で実施しました。
雪に覆われた森の中を、いくつかのグループで探検し、森の中でクイズを解いたり、宝さがしをしました。よく遊び、森のことをたくさん学びました。

主な内容

  • 冬の森たんけん
  • イグルーを作ろう
  • アイスクリームをつくろう
  • 森の宝をさがそう
  • 雪原パーティ

詳しくは、「森のたんけん隊」のページを御覧ください。

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冬の国際森林実習のご案内

2020年1月16日

 北海道大学北方生物圏フィールド科学センター (天塩研究林)では、2020年2月25日~28 日に冬の森林生態学に関する国際実習を開催します。

 対象者は、国内外の学部の3年生および4年生、そして修士課程の学生です。興味のある方はふるってご応募ください。実習は、冬の森林における植物生態、土壌養分動態、炭素循環、土壌動物の生態、林業、そしてそれらに及ぼす気候変動の影響など、基礎から応用まで幅広い内容について学ぶ内容となっています。

 詳細は、以下の Webpageをご覧ください。 https://winter-forest-ecology.weebly.com/ 使用言語は英語です。質問などございましたら、小林真(makoto (at) fsc. hokudai.ac.jp)までお問い合わせください ((at) を@へ変更) 。

University Forests will hold an Winter Forest Ecology Course JAPAN from 25th to 28th February 2020 in northern Hokkaido.

The target students are 3rd and 4th year undergraduate students and master’s course students. During the field course, the students will learn basic and applied knowledge about snow function, above and below-ground plant ecology, soil nutrient dynamics, carbon flux, soil faunal activity and silvicultural activity in winter forest.

For the detail, please visit our webpage https://winter-forest-ecology.weebly.com/

The application will be accepted until 30th January. Please feel free to forward this information to whom might have interests in leaning winter forest ecology in the middle of beautiful forest with heavy snow. If you have question, please contact Makoto Kobayashi ( makoto(a)fsc.hokudai.ac.jp ), one of the organizers of the course.

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天塩研究林「ヒグマしり隊!」開催のお知らせ

2019年10月26日

1年間の生活史、定点カメラによる動画、冬眠時の様子、ヒグマの食性、約45年間におよぶクマ研の活動などを紹介します。 毛皮や頭骨を実際に触る事も出来ます。

開催日:2019年11月3日(日)

    10時00分~12時00分

    (受付は8時30分~)

開催場所:天塩研究林 講義室

参加費:無料

定員:10名(先着順)

募集対象:興味のある方ならどなたでも

応募方法:電話・FAX・メール

     氏名・住所・連絡先をお知らせ下さい。

        電話での応募および問い合わせは、7時30分~18時までです。

       (日曜日、12時15分~13時は除く)

応募をお待ちしております(10/31締切)。

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母子里と出会う旅 2019 秋の空 9月22日、23日

2019年9月11日

幌加内町母子里地区で開催される、一日丸ごと森を探検できる「ナイト&モーニングツアー」 日時 :2019年9月22日(日)14:30~ 9月23日(月・祝日)13:00まで 場所 :北海道大学雨龍研究林(幌加内町母子里) 参加料 :大人3500円、小学生以下2500円(1泊2日3食付) 定員 :20名(要申込) 申込締切 :9月17日(火) 詳しくは下記ファイルをダウンロードしてください。

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北海道の針葉樹は衰退している!

2019年7月25日

森林圏ステーション南管理部の日浦勉教授らの研究が本学のプレスリリースで発表されました。 https://www.hokudai.ac.jp/news/190725_pr2.pdf

原著論文 https://authors.elsevier.com/a/1ZRFB1L~GwKRXH

ポイント

  • 北海道の原生林生態系が気候変動によって改変されていることを実証。
  • 夏期の気温上昇と降水量増加が原生林の針葉樹の成長に負の影響を与えていることを発見。
  • 台風の影響も針葉樹ではより深刻で,気候変動が原生林の姿を変えてしまうことを示す重要な成果。

概要

北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの日浦勉教授らと森林総合研究所の飯島勇人主任研究員の研究グループは,気候変動によって原生状態の針広混交林に生育する針葉樹の割合が年々低下していることを明らかにしました。気候変動は森林生態系に様々な影響を与えていると考えられていますが,樹種ごとの応答やそのメカニズムについてはまだ不明な点が多く,特に長期モニタリングデータに基づいた研究例はわずかです。本研究では,北海道大学中川研究林の原生保存林において17.5ヘクタールに及ぶ森林の樹木1本1本を個体識別して成長や死亡などを約40年間モニタリングし,森林生態系の変化に対する気候変動や地形などの影響を調べました。その結果,夏期の気温上昇と降水量増加がトドマツなど針葉樹の成長に負の影響を与えている一方,イタヤカエデなど広葉樹の成長には正の影響を与えていることがわかりました。2004年の台風による死亡も,針葉樹でより深刻であることが判明しました。その結果,針葉樹の割合が約20%も減少した森林がありました。これらの結果は,気候変動によって森林の姿が大きく改変されるだけでなく,その機能にも影響を及ぼしてしまう可能性を示すものです。本研究成果は,2019年7月22日(月)公開のForest Ecology and Management誌にオンライン掲載されました。

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2019年4月24日(水)~25日(木)に、名寄実験室ガイダンス、学生の安全講習(名寄)等を実施しました。

2019年4月26日

今回の安全講習は、学生、院生等が対象です。職員等が対象の講習は、別途実施しました。

実施日:2019年4月24(水)~25日(木)
実施場所:名寄教育研究棟(北管理部:名寄)
対象者:名寄所属の学生、院生等。
    名寄実験室の利用予定者。

詳細は、森林圏ステーションのこちらのページを御覧ください。

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中川研究林の大面積長期試験地の紹介が朝日新聞北海道版に掲載されました

2019年4月22日

中川研究林で取り組んでいる樹木の生長と伐採に関しての50年にわたる長期調査が朝日新聞北海道版に紹介されました。

記事は朝日新聞DIGITALの下記サイトにも掲載されていますので、世界的にも例のない取り組みをご覧ください。

https://www.asahi.com/articles/CMTW1904220100006.html

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中川研究林・森林管理体験会《早春の調査編》のご案内:3月26日開催!

2019年3月5日

 中川研究林にて、森林管理体験会《早春の調査編》を2019年3月26日(火)に開催します(申し込み締切:3月18日)。
 対象者は森林に興味をもっている高校生・大学生・大学院生で、雪の残る天然林内で毎木調査を行います。
 詳しくは北大研究林ホームページの告知ページをご覧ください。ご参加お待ちしております!

(中川研究林 馬谷)

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2019年1月10日(木)~11日(金)に、「森のたんけん隊2019冬」を開催しました。

2019年1月31日

冬の森を探検中

森のたんけん隊2019冬は、2019年1月10日(木)~11日(金)の1泊2日で実施しました。
雪に覆われた森の中を、グループごとにたんけんし、森の中でクイズを解いたり、宝さがしをしました。よく遊び、森のことをたくさん学びました。
詳しくは、森のたんけん隊のページを御覧ください。

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苫小牧研究林がJR北海道の車内紙で紹介されました

2023年10月27日

JR北海道の車内紙「The JR Hokkaido」10月号の特集「北の森を究める」に紹介されました。

記事はウェブサイトでご覧になれます。

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雨竜研究林にてジェットスター・ジャパンが植樹しました

2023年10月20日

10月10日雨龍研究林において格安航空会社(LCC)のジェットスター・ジャパンが旭川空港就航を記念して植樹を行ないました。

これは、認定 NPO 法人 環境リレーションズ研究所の森林再生プロジェクト Present Tree に賛同したジェットスター・ジャパンが、旭川就航を記念した「ジェッ太の森」創設イベントとして実施されたものです。植樹にはニック・マッグリン取締役会長他ジェットスター社員 15 名が参加して、アカエゾマツの苗木約 200 本を植えました。

ジェットスター・ジャパン プレスリリース

NHK 北海道 NEWS WEB

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Newsletter #26-3 木材の色はどのようにして決まるのか?-産官学連携の取り組み

2021年12月20日

天塩研究林  小林 真

写真1 オニグルミの板。どちらも中川町で伐採されたオニグルミから作られた板だが、その色は大きく異なることがわかる。

 皆さんも、木材でできた製品をお持ちだと思います。もしかしたら、読者の中には樹種や国産の木材にこだわって自宅を建てたという、羨ましい方もいらっしゃるかもしれません。では皆さんは、なぜ他の材料ではなく、木材でできた物を選ばれたのでしょうか。木材は加工性に優れた材料です。しかし、しばしば1ユーザーである私たちは、加工のしやすさよりも、単純に「見た目がきれいだから」という理由で木製品を選ぶことがほとんどだと思います。では、その“見た目”は、どのような要因で決まっているのでしょうか?私たちの研究グループは、木材の“見た目”を大きく左右する“色”の謎に迫るべく研究をはじめました。

 ことの始まりは、東川町で制作活動をされている1人の家具作家さんの一言― 「同じ中川町産のオニグルミでも、伐採する年によって黒みが強いものが混ざる」。木材の色の違い…ホームセンターでも、パイン材、タモ材などが売っていて、樹種が違えば木材の色も違うことは容易に想像できます。しかし、同じ樹種でも、その木材の色がかなり違うことがあるのです。そして注目すべきは、色の違いで、同じ樹種でも木材として値段が大きく異なることです。良質な広葉樹材が取引される銘木市における“ある月”の取引では、同じウダイカンバという樹種の木材でも、心材の色が薄いピンクだった場合には1㎥あたりで48,000円で落札されたのに対し、赤かった場合には、89,000円という値段がつきました。色によって2倍以上の値段がつく木材の色を制御している要因が明らかになれば…。一攫千金の匂いがしてきました。

 文献調査を始めてみると、国内において高価格で取引されることが多い広葉樹を対象に、”一つの町”という狭い範囲で木材の色がどのような要因で変化するのかは、明らかにされていませんでした。前出の家具作家さん曰く「同じ樹種でも木材の色が大きく異なってしまうのは、制作活動を行う上で悩みの種」なのだとか。展示会などで「色味が気に入ったので、このテーブルをください」とオーダーがあったとします。しかし、別の板を使ってテーブルを作ると、同じオニグルミ製でもその色合いが展示会で見たものと色味が大きく異なってしまう可能性があるのです。少なくとも、どのような場所の樹木を伐採すればどのような色の木材が取れるのかさえ分かれば、生産する作品の色を調整する一助になります。そこで私たちは、当センターと包括連携協定を結んでいる中川町役場、中川町内にある林業会社、森林総合研究所や東京農工大の研究者、そして前出の家具作家という多様なメンバーからなる“産官学の連携チーム”で調査をはじめました。

 北海道では樹木の成長は土壌中の養分量で規定されているので、オニグルミの木材の色にも土壌養分が関係しているのではないかと予想を立てて研究を進めました。様々な土壌条件の状態を調べた結果、植物が土壌から吸収可能なマグネシウムの量によって、オニグルミの木材(心材部分)の色が決まっていることがわかりました。土壌中のマグネシウムの量が多い場所に生えているオニグルミの木材は、黄緑色っぽい木材になることがわかったのです。植物が利用可能な土壌中のマグネシウムの量によって、木材の色味を決める心材物質(フェノール性の物質)の量や発色程度が変わり、木材の色の違いへつながっていると考えられます。地域産業の現場の方の疑問をきっかけに、実学的はもちろんのこと、基礎科学的にも意義のある課題について産官学連携でとりくむスタイルは、SDGsで掲げられた、産業基盤の形成や、森の恵みに代表されるような陸の豊かさを保全する上で大事なフレームワークであると考えます。

写真2 冬の間にオニグルミが伐採された場所へ、夏になったら土壌を採取しにいく。
鬱蒼とした藪の中、切り株までの道無き道の案内をしてくれるのは、地元の林業会社のレジェンド(a)。
そして苦労して得られた土壌サンプル(b)。
写真3 採取した土壌を、北管理部(名寄)にある装置で分析する学生

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Newsletter #26-1 研究エッセイ

苫小牧研究林 岸田 治

 自分たちのフィールドでしかできないようなことをしたい。フィールド施設に所属する人なら誰しもが考えることであろう。現在、苫小牧研究林で私が行っている河川性サケ科魚類の個体追跡モニタリングは、まさにこの思いを現実にしたプロジェクトである。このプロジェクトは、サケ科魚類の生態研究で顕著な業績をあげてきた森田健太郎さん、コロラド州立大学の菅野陽一郎さん、私が指導する大学院生の二村凌さん、そして苫小牧研究林の技術職員・森林技能職員(以降、技術スタッフ)の皆さんとともに立ち上げた。研究林内を流れる幌内川の約5kmの流程で、数千尾のサケ科魚類を個体識別し、生活史と行動を徹底的に調べるという大胆な試みである。

 魚の個体識別は、PITタグ(passive integrated transponder tag)とよばれるICチップを体内に埋め込むことで行う。PITタグは優れもので、専用のアンテナがあれば30cmほど離れたところから感知できる。アンテナのタイプは複数あり、目的に応じて使い分ける。例えば、魚がどこにいるかを調べる際には、持ち運び型のアンテナを使う。爆弾探知機のごとくアンテナを振りながら川を歩きまわると、PITタグの持ち主のいる場所を特定できる(写真1)。魚の移動を調べるには、河川を横断するように設置した固定式のアンテナで使う(写真2)。このアンテナは、JRや地下鉄の改札機が乗客のICカードを探知するのと同じ仕組みで働く。PITタグを装着した魚個体がアンテナを通過するとIDと時間が端末に記録されるため、魚の移動を年中昼夜を問わず調べられる。

写真1 持ち運び式のPITタグアンテナを用いた魚類の居場所調査
写真 2 固定式のPITタグアンテナを設置している様子


 このプロジェクトは、仮説や予測がないなかでスタートした。どんな成果が得られるのか明確な見通しがないにもかかわらず、開始する決断に至ったのは、苫小牧研究林の技術スタッフがいたからだった。探索研究の成功の鍵は努力量にある。たくさんの魚を丁寧に調べ、質の高いデータを大量に得ることができたら、必ずや発見があるだろう。北大研究林の技術スタッフは、馬力があり、作業が丁寧なのだ。作業効率を上げるための工夫も忘れない。彼らがサポートを約束してくれたからこそスタートできた。

 毎年、春と秋には5,320mの調査流程全体での採捕調査を行う。この大規模な採捕調査は「魚祭」と呼ばれ、苫小牧研究林の目玉イベントとなっている。まず、10mごとに区分けされた流程で、採捕者が電気ショッカーを使って魚を捕獲する。捕獲した魚はバケツに入れ、近くの林道に停めてあるトラックの荷台まで運ぶ。トラックの荷台には、常時6~7名の作業者が待ち構え、魚の麻酔、PITタグの確認や装着、体長・体重測定、写真撮影、遺伝サンプルの採取などの作業を分担する(写真3)。一連の作業が終わると、魚を麻酔から覚醒させ、もといた場所に放流する。採捕調査は始業時刻と同時にはじめ、終業時刻ぎりぎりまで行う。それでも1日で0.8~1.2kmの区間の調査が限界なため、5kmを超える全区間の調査を終えるには、5日以上かかる。作業がスムーズに進むように、人員配置から小道具まで細部に渡り工夫が施されている。洗練された調査体制と使いやすい道具類のおかげでミスはめったに起こらないし、起こったとしてもすぐに発見できるため、痛手にはならない。決して楽な調査ではないが、和気あいあいと作業ができるうえ、大量のデータを取っているという実感もあり、充実している。魚祭は一連の作業が体系化されていることから、生物調査法を学ぶ良い機会にもなる。今年度からは、魚祭を対象とした教育プログラムを開催し(教育拠点事業フィールドトレーニング「大規模魚類調査」)、学内外の大学生・大学院生を受け入れ、生物調査の基本と創意工夫を学んでもらっている。魚祭の他に、毎月一回、持ち運び式のアンテナで魚の居場所を特定する調査も行っている。大学院生と技術スタッフが2日かけて全区間を歩き調査する。魚の移動をモニタリングするための固定式アンテナは上流から下流にかけて計6箇所設置してある。下流のアンテナでは、川と海を行き来する個体を調べることができる。例えば、一部の個体が海に降るサクラマスでは、どの個体がいつ海に向かったのか、そして、1年後どの個体が海から無事帰ることができたのかも調べられる。固定式アンテナは、年中、昼夜を問わず稼働するが電力供給のためのバッテリーの交換作業とアンテナのメンテナンスが欠かせない。これも技術スタッフが毎週行ってくれる。以上、苫小牧研究林で私が実施している一大プロジェクトを紹介させてもらった。プロジェクト開始から3年、いよいよ皆の努力が実り、成果があがりはじめている。ここでは解説する余裕はないが、論文やプレスリリースを通して発信するので、今後にご期待いただきたい。

写真3 年二回の採捕調査。川で魚を捕獲した後(写真左側)、トラックの荷台へと運びPITタグIDの確認、測定、撮影や遺伝サンプルの採取を行う。

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Newsletter #25-6 天塩研究林を訪ねて 

2021年7月14日

大学院農学研究院 西邑 隆徳(センター外運営委員)

 観測タワーのトップまで登ってきた.目の前で風速計のカップが勢いよく回っている.雪に被われた丘にブラシを逆さに刺したような樹々が眼下に見える.数百メートル先の丘はグラデーションとなって雪空に溶け込んでいる.

 北海道大学の広大で多様な研究林に関心を持たれている竹中工務店の皆さんを天塩研究林に案内するというので,佐藤センター長にお願いして私も一緒に連れて行ってもらった.学生の時に訪ねて以来,40年ぶりである.
 3月末,少し春らしくなってきた札幌を後に,特急宗谷で名寄を目指した.旭川を過ぎると,まだ冬と言わんばかりに雪が降ってきた.名寄駅に着くと,研究林の方々が迎えに来てくださっていた.マイクロバスに乗車し,佐藤先生から研究林の説明を聞きながら,天塩研究林に向かった.途中,昼食に立ち寄った天塩川温泉保養センターで食べた真っ黒な音威子府蕎麦はたいそう美味かった.
 天塩研究林に到着すると直ぐに合羽を着込み,バスで人工林伐採現場に移動.最近導入されたという高性能林業機械による伐採作業を見せていただいた(写真1).フェラーバンチャでの立木伐採,プロセッサによる枝払い・即尺・玉切り,フォワーダでの集材.お見事.想像以上の迫力,スピードに驚いた.チェーンソーでの作業とは比べものにならない.森林の香りが,湿った雪の中を漂って来る.やはり現場は好きだ.

写真1;高性能林業機械の説明を受ける訪問者(竹中工務店の皆さん他)

 私の専門は畜産で,FSCの農場や牧場を教育研究で利用させていただいている.30年ほど前に,前職(道立畜産試験場)から大学に助手として戻って来たところ,食肉製品の製造実習を受け持つことになった.当時,肉製品・乳製品の実習施設は,北18条の獣医学部の北側にあり,技術職員が4名いた.学生の頃からお世話になっていた年長の技術職員にとっては,新米助手の私はヒヨッコ同然.それまで実習を担当されていた森田潤一郎先生からは,「これからはお前がやれ」と一言.学生時代に受講した肉製品製造実習ではハムやソーセージを試食することだけが楽しみで,ハム作りの工程など全く頭に入っていない私にとっては,初年度の実習は冷や汗だらけだった.技術職員のご協力のおかげで,そんな私でもなんとか,その後10年間,後輩教員にバトンタッチするまで,実習を続けてこられた.学生たちは,親豚の分娩に立ち会い,生まれてきた子豚を哺育・育成し,農場の畑で採取したトウモロコシ等を用いて調製した配合飼料を給与して肥育し,その豚をと畜・解体して肉や内臓,皮,血液等を材料に食肉製品を製造する.動物生体内での筋形成・肥大機構および筋タンパク質の性質を利用した食肉加工原理を講義で学びながら,座学と並行して行う実習では豚の成長および豚肉の加工技術を五感で体得する.日本国内では北大でしかできない食肉製品製造実習に誇りを持って,技術職員とともに関わることができた日々は,私の大学教育経験の中で最も貴重なものの一つとなっている.

 伐採現場を後に,森林の炭素吸収量を長期測定している観測タワーを見に行った.バスで林道入口まで移動し,そこからは雪上車とスノーモービルに分乗して現地に向かった.私は,高木先生の運転するスノーモービルの後ろに乗って出発.私が運転したくてムズムズしているのを見越してか,高木先生は途中で運転を交代してくださった.40年近く前になるが,宗谷丘陵で肉牛生産事業を開始するため,そのパイロット牧場(現在は宗谷岬牧場)によく調査にでかけた.宗谷岬の郵便局辺りから丘陵上の牧場に上がるのだが,厳冬期は雪で路が閉ざされており,スノーモービルで牛舎詰所まで荷物を運んだ.牛の行動調査の際にもスノーモービルをよく使っていたので,たいへん懐かしかった.
 観測タワーに着いて見上げると,高い.「誰か登ってみませんか」に直ぐに手を上げた.フルハーネス安全帯を付けてもらい,鉄塔の狭い階段を慎重に登り,なんとかテッペンに到達した.ナントカと煙は・・・のナントカである(写真2).樹々を上から見下ろすアングルは面白い.この観測タワーでは,植林カラマツの生長に伴う森林炭素吸収量の変化を長期モニタリングするのだという.数秒ごとに測定されるデータが数十年間に渡って蓄積され解析されて,未来の人たちが生きる地球を救う.地道で壮大な研究である.

写真2;観測タワー頂上にて.左から阿部URAセンター長,筆者(西邑),竹中工務店の中嶋さん.

 「比類なき大学」と寳金総長は言う.
 「比類なき大学」は何において比類ないのか.「何において」が重要である.北海道大学が有する研究林,研究牧場,研究農場,植物園,臨海実験所等は広大で多様性に富み,世界的にも比類なき教育研究フィールドであろう.このフィールドを活用した実学教育や異分野融合先端研究の「光」は「北」から「世界」へ,その輝きを放っている.しかし,この「比類なきフィールド」に一度も足を踏み入れることなく北大を卒業・修了していく学生は多くいる.4,500人に及ぶ教職員のうちフィールドを訪れたことがある者は何人いるだろうか.農学研究院の教員ですらFSCフィールドに行ったことのない者は少なくない.北大のフィールドの「光」は,「世界」に届くと同時に,「地域」をどのように照らしているだろうか.札幌農学校開校当時のフィールドイズムは,SDGsが叫ばれている現在の北海道大学で,どのように持続的発展を遂げるのであろうか.40年ぶりに訪れた天塩研究林を後に,帰札する汽車の中で,そんなことを考えていた.

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Newsletter #25-5 新任教員紹介

2021年7月6日

森林圏ステーション 苫小牧研究林・准教授 植竹 淳

経歴: 群馬県出身。東洋大学生命科学部卒、東京工業大学生命理工学研究科修了。博士 理学。国立極地研究所研究員、コロラド州立大学研究員を経て、令和3年2月より現職。 

 苫小牧研究林に2月から准教授として勤務しております植竹淳です。私は、これまでに微生物に着目した研究、とくに『環境変動と氷河微生物』、生態系や気象に影響を与える『大気中を浮遊する微生物』に関する研究を行ってきました。

 氷河の上で増殖する微生物群は、互いに集合し、土壌のように黒っぽい腐食物質を形成することで真っ白な氷の表面を黒く変化させてしまいます。そして黒くなった氷河は、太陽の光を効率よく吸収し、氷河が融けるのを劇的に加速させてしまいます。そうすると融解した大量の淡水が海に注がれるので、海水面の上昇や海洋の循環などにも影響を与えるのではと懸念されています。それなので、この中にはどのような微生物が生息しているのか、またどんな環境で大増殖を引き起こすのかをテーマとして、様々な生物を顕微鏡から次世代シーケンサーまで様々な方法を使って研究してきました。グリーンランドでは、特定の遺伝子型のシアノバクテリアが非常に多く生育していること、人間活動で排出された窒素や、氷河周辺の鉱物から供給されるリンなどが増殖をコントロールしていることがわかってきました。

微生物で黒く汚れたグリーンランドの氷河

 地理的に全くかけ離れている氷河で微生物の遺伝子解析をしていると、両者に共通した(特定の短い)遺伝子が全く同じ微生物が見つかってきます。これが北極とアフリカの高山で共通してしまうので、大気を漂ってきたのではないかと思うようになり、大気中を漂う生物(バイオエアロゾル)の研究も行ってきました。バイオエアロゾルは健康、生態、気象に大きな影響を与えるにもかかわらず、実はその実態はほとんど明らかにされてきませんでした。そのため人々に大きな影響を与えうる東京上空、逆に世界中でも汚染が最も少ない地域であるオーストラリア大陸から南極大陸に至る海域(南大洋)で研究を行ってきました。その結果、多くのバイオエアロゾルは比較的近距離から飛来していること、また陸では湿度と風速といった気象要因がバイオエアロゾルをコントロールする要因となっていることがわかってきました。

生物の種類に特有の遺伝子領域のデータを生態学に利用をするアプローチを環境DNA研究と呼びます。微生物と環境変動について調べたかった私は全く意識していなかったのですが、私がやっている研究(特にバイオエアロゾル)はまさに環境DNA研究であることに気がつき、今後の研究ではあえてそこを意識しながら進めていこうかと思っています。例えば森林内では、空気のみならず、土、川、池、動物、植物に由来する微生物の遺伝子を同時に集めてくることで、森林内部で空気を介してどのように微生物が拡散しているのかをみて取れるのではないかと期待しています。バイオエアロゾルは様々な環境で影響を与えているので森林圏のみならず水圏、耕地圏のみなさんとも一緒に研究できるのではないかと考えております。これからよろしくお願い致します。

海洋でのエアロゾルサンプリング

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Newsletter #25-2 森の樹冠における植物と昆虫の相互作用

2021年5月28日

森林圏ステーション 和歌山研究林 中村 誠宏

 植食性昆虫は様々な方法で葉を利用しています。葉に潜る潜葉性(せんようせい)、葉をかじる咀嚼性(そしゃくせい)、葉をガン化させて瘤を作るゴール性などがいます。このように、共通の資源を同じような方法で利用する生物グループのことを「ギルド」と呼びます。しかし、こんなに昆虫が繁栄しているのに、「世界は緑のままで、植物はあり余っているのは、なぜなのでしょうか?」

 「昆虫にとって陸域の植物は理想的な餌なのでしょうか?」実は、植物は「まずい」物質を体内にため込む化学的防御を行っています。化学的防御には毒性の強いアルカロイドやテルペノイドを使う質的防御と消化阻害を起こさせるタンニンやフェノールを使う量的防御があります。このどちらも二次代謝物質です。この二次代謝物質とは成長や繁殖には直接的には関与しない植物が生産する有機化合物のことをさします。さらに、植物は物理的防御も行っており、これは摂食を妨げるトリコームやトゲ、そして食われにくくする葉の硬さなどをさします。野外調査では葉の硬さの指標としてLMAがよく使われます(LMAとは単位面積あたりの葉の重量)。つまり、「なぜ陸域の植物はあまり食べられないのか?」の答えは、昆虫の被食から葉を守るために植物は多様な防御システムを持っているからなのです。

植物は遺伝的に同じでも環境変化によりその形態的・生理的形質が容易に変化します。この変化させる能力のことを「表現型可塑性」と言います。表現型可塑性は移動できる動物よりも移動できない植物においてより重要だと言われています。また、環境変化はこの植物形質の可塑的変化を介して植食性昆虫に影響を与えることも分かってきました。

 北海道の森林を垂直方向に見ると、葉群は複雑な階層構造をしています。高木、亜高木、低木があり、また樹木個体内も樹冠上層から下層まで幅広く葉が分布しています。この複雑な階層構造が樹冠内の複雑な光環境を作り出します。つまり、上層にある葉が光の侵入を遮断してその直下の葉の光環境を改変するように下層に行くほどに光強度が弱くなっていきます。この光環境の異質性に合わせて葉形質や昆虫の被食も変化すると予測されます。

そこで、光環境の異質性が樹冠内の葉形質と昆虫被食に与える影響を見た研究をここで紹介したいと思います。北海道南部の黒松内ではブナ成木の樹冠を直接観察するために巨大なジャングルジムが建設されています。空間的変異を見るために樹冠の上部と下部で、また時間的変異を見るために6月と8月に葉形質と被食の調査を行いました。

 葉形質の時間的変異(季節変動)について説明します。LMA、窒素、C/N比を葉形質として測定しました。C/N比は炭素ベース防御物質の総量の指標です。LMAとC/N比は6月から8月にかけて増加しましたが、窒素濃度には季節変動は見られませんでした。次に、葉形質の空間的変異(樹冠の上部と下部の違い)について説明します。6月において樹冠の下部に比べて上部でLMA、窒素濃度、C/N比が高くなっていました。一方、8月においては窒素濃度とC/N比の空間的変異(上部と下部の違い)は6月と同程度であったのに対して、LMAはその変異がさらに大きくなっていました。

 咀嚼性による被食、潜葉性とゴール性の昆虫密度を昆虫被食として測定しました。6月に咀嚼性、潜葉性、ゴール性の空間的変異は見られませんでしたが、8月に樹冠の下部に比べて上部で咀嚼性被食とゴール性密度が低下しました。この結果は、季節(時間)とともに被食の空間的変異が顕著化する(広がる)ことを意味しています。8月にLMAの空間的変異がより大きくなったことが原因だと考えられます。このように、樹冠では葉形質と被食に時間的・空間的変異があることが分かってきました。光の当たり具合で植物の「まずさ」は変わり、その違いを昆虫は賢く嗅ぎ分けて食べているのです。

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砂澤ビッキ作《思考の鳥》の「キツツキ」が倒れました

2021年5月2日

4月21日に中川研究林庁舎に建てられた、砂澤ビッキの作品である《思考の鳥》の「キツツキ」が、真に残念ながら倒れてしまいました。

詳しくは中川研究林のウェブサイトをご覧ください。

中川研究林

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Newsletter #25-1 新任教員紹介

2021年4月14日

森林圏ステーション 雨龍研究林・准教授 森田 健太郎

経歴: 奈良県出身。北海道大学水産学部卒、同大学院水産学研究科修了。博士(水産科学)。日本学術振興会特別研究員DC2・PD、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産資源研究所(旧北海道区水産研究所)主任研究員を経て、令和2年11月より現職。

 11月より雨龍研究林に着任した森田健太郎と申します。これまで私は、おもにサケ科魚類を対象として、寒冷な地域に生息するものほど体サイズが大きいという温度―サイズ則などを含む動物の生活史形質の変異や個体数変動が生じるメカニズム等に関する動物生態学、並びにダムや外来生物種などの影響に関わる保全生態学を専門として研究してきました。代表的な研究としては、山地渓流に設置された砂防ダムが在来種イワナに及ぼす生態リスクに関する研究が挙げられます。ダム上流域に隔離された局所個体群では実際に絶滅が進行していること及び遺伝的多様性が低下していることを野外データで示すとともに、個体群動態の数値シミュレーションによってダム建設の数十年後から絶滅リスクが増大することを明らかにしました。この他、水産資源の変動要因と生物多様性に配慮した資源管理に関する応用的研究についても取り組んできました。将来のサケマス類の増養殖技術の高度化に関して、人工ふ化放流に加えて自然再生産もバランス良く併用することで、天然魚から遺伝的に変質するという“家魚化”の懸念を払拭し、持続可能な漁業に取り組むことを提唱してきました。

 今後も、フィールドワークを基盤とした生態学研究の発展に寄与したいと考えています。特に、野生動物の生活史と個体群過程に関する基礎生態学と保全生態学に力を入れて取り組みたいです。これまで私が研究対象としてきた冷水性のサケ科魚類は、地球温暖化の影響を受けやすいことが想定され、また、彼らが暮らす河川の渓流域は、単一種の人工林や砂防工事などによる人為的な攪乱に晒されており、基礎生態学のみならず、保全生態学の題材として適しています。また、森林圏ステーションの豊かな自然環境を生かした体験重視のフィールド実習を企画していきたいと考えています。そして、研究することの楽しさを気づけるような環境づくりに力を入れたいと思います。大学時代には、研究活動を通じて「感動」してもらいたい、という思いがあります。それは、自然は理解するだけではなく、感じるものだ、という思いがあるからです。実際に現場に行って体験すると、理解を超越した生命現象を「感じる」ことができ、その感覚は、自らの力で研究の方向性を見出すうえで、かけがえのないものになると思うからです。森林生態系と水圏生態系は連動しており、幾許かの人間活動の影響を受けつつ、そこに野生動植物が暮らしています。こうした繋がりと実態をフィールド実習・演習を通して体感することで伝えていきたいと考えています。地域貢献と未来の研究者のために尽力したいと思いますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。

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Newsletter #24-3 森林伐採に伴い放出されたCO2を回収するために必要な時間

2020年12月22日

森林圏ステーション 天塩研究林 高木 健太郎

 森林圏ステーション天塩研究林では、国立環境研究所地球環境研究センターと北海道電力株式会社総合研究所との三者共同研究として、森林のCO2吸収量の観測を2001年に開始しました。この共同研究では、伐採や植林等の活動が森林のCO2吸収量に与える影響を長期的に定量観測することを主な目的としています。森林伐採前より観測を開始して(写真1)、その後、周囲約14 haの森林を2003年に伐採し(写真2)、同年に2年生のカラマツ(グイマツ雑種F1)を植林しました(写真3、4)。高さ30mの観測タワーをサイトの中心に建設して最上部に様々な観測機器を設置し、森林と上空大気との間でやり取りされるCO2量を継続観測しています(写真5)。今年この長期モニタリングのメモリアルな節目を迎えました。

 伐採前の森林は、光合成量と呼吸量の年積算値がほぼ拮抗していたものの若干光合成量の方が多く、CO2の弱い吸収源でしたが、伐採した年には、伐採前の吸収量の13年分を1年で放出するほど大きなCO2の放出源となりました。伐採によって生産された木材は丸太として生態系の外に運ばれましたが、切り株や枝葉等はその場に残されていたため、これら伐採残滓や土壌炭素の分解、植物の呼吸によるCO2の放出量が、林床植物や植栽木、天然更新した樹木の光合成量を大幅に上回ったためです。CO2の放出量が吸収量を上回る年は7年間続きましたが、伐採後8年目(2010年)にして、ようやく樹木や林床植物の光合成量が放出量を上回るようになりました。伐採後7年間の林床植物(ササ)の炭素の蓄積量は植栽木のそれの15倍以上にも及びました。ササの繁茂は植栽木の成長に対して弊害にはなるものの、この間のCO2吸収には大きな貢献をしていました。

 年単位では吸収源となった植林地ですが、伐採後18年目の今年(2020年)にようやく伐採直後7年間に放出したCO2を全て回収することができました(写真6)。樹木の現存量は伐採前の1割程度にまでしか回復していませんが、年間のCO2吸収量は4~7倍になっています。これまでの観測により、人間の活動は森林生態系の炭素循環にとても大きな、かつ長期に渡る影響を与えていることが定量的に明らかにされました。丸太として生態系外に搬出された炭素も植林地のCO2吸収により回収するとなるとさらに10年程の期間を必要とするでしょう。2015年より国立環境研究所との二者の共同研究となりましたが、今後も引き続き多くの研究者に参画していただいて、炭素に加えて様々な物質の循環特性と森林管理に対する応答を明らかにしていきたいと思っています。

写真6. 最近の植林地-紅葉したカラマツ (2017年10月)

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雨龍研究林での研究が朝日新聞に紹介されました

2020年12月14日

12月12日付けの朝日新聞の北海道版に、「かき起こし」作業による、「カンバ林」への再生研究についての記事が掲載されました。

記事はウェブ版にもなっていますのでご覧ください。

https://www.asahi.com/articles/ASNDC76P4ND3IIPE008.html

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柴咲コウさんが雨龍研究林に来ました

2020年9月7日

女優の柴咲コウさんの公式YouTubeチャンネルで雨龍研究林が紹介されました。

柴咲コウと北海道を巡る旅 #3【潜入編】として、国産の木材を使った家づくりで、木材の原料となる樹木がどのように育てられ、どのように伐採されているかなど、雨龍研究林での事例を柴咲さんの目線でレポートされています。

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天塩研究林で利用者セミナーをおこないました

2019年3月19日

天塩研究林では、毎年2月に研究林を利用した研究者や学生が発表をおこなう、「フィールド利用者セミナー」を開催しています。利用者は本学のみならず、他大学や研究機関など幅広く活用されています。今年は2月20日におこなわれ、下記プログラムを「植物の話」「土の話」「熊の話+α」のサブタイトルで三つのパートに分けて発表が進められました。

  • 天塩研究林長 高木 健太郎 准教授
     開会のことば
  • 小樽商科大学 片山 昇 准教授
     ヒトによる「いじめ」から山菜が回復するまでの軌跡
  • 北大環境科学院 河上 智也 博士1年
     トドマツの根っこはライバルにの存在で変体する?
  • 北大農学研究院 北条 愛 博士3年
     二つの衛星で森林生長量の推定はできるのか?
  • 北大工学院 茂木 透 特任教授
     なぜ道北地域で地震がおこるのか
  • 北大環境科学院 小林 高嶺 博士1年
     森林の炭素と鉄の動きは季節と関係してる?
  • 北大環境科学院 植村 茉莉恵 修士2年
     冬の森林の土壌養分(窒素)はどうなるか?
  • 北大ヒグマ研究グループ 伊藤 泰幹(北大文学部3年)
     北大クマ研の2018年調査結果
  • 北大文学部 松本 朋華 学部4年
     今どきのヒグマとヒトのご近所付き合い
  • 北大農学研究院 玉井 裕 准教授
     きのこの山計画進行中 -天塩林を宝の山に
  • 北大CoSTEP 朴 炫貞 特任助教
     森とアート
  • 天塩研究林 芦谷 大太郎 森林保全技術班長
     閉会のことば

このセミナーは普段フィールドを支える技術職員や森林技能職員を対象としているもので、職員が管理しているフィールドでどのようなことがおこなわれているのか?また、職員のサポートがどのように生かされ、役だったかを深く知る機会になっています。こうした機会は日頃縁の下の力持ちとして働く職員にとっては貴重な時間であり、仕事に対する誇りや今後の研究協力に対する大きな原動力にも繋がっていきます。

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岸田准教授の研究成果が北海道文化放送で紹介されました

2019年1月15日

苫小牧研究林の岸田治准教授の研究成果が北海道文化放送(uhb)の番組「みんなのテレビ」で紹介されました。uhbでは以前より国内外来種としてのアズマヒキガエルについての放送をしていましたが、今回の岸田准教授の研究成果から北海道におけるアズマヒキガエルの与える影響の大きさに懸念を示す内容となっています。

https://uhb.jp/news/6943/

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HUSTEP(北海道大学短期留学プログラム)が研究棟でおこなわれています

2018年11月22日

11月16日にHUSTEP(北海道大学短期留学プログラム)のプログラムで、当センターと大学院農学研究院でおこなっているEnvironmental Science for Biological Resources(生物資源のための環境科学)の6回目の授業Global warming and forest carbon cycling (地球温暖化と森林炭素循環)がおこなわれました。

 

 

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苫小牧研究林の岸田治准教授らの研究が紹介されました

2018年11月9日

苫小牧研究林の岸田治准教授らの、本州のヒキガエルが北海道の在来両生類を中毒死させる研究が全国紙2紙に紹介されました。

yahooニュースでは毎日新聞版の全文がお読み頂けます。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181106-00000000-mai-life

公益財団法人 森林文化協会では朝日新聞版の全文がお読み頂けます。
https://www.shinrinbunka.com/news/pickup/17313.html

毎日新聞(有料記事)
https://mainichi.jp/articles/20181106/ddm/012/040/038000c

朝日新聞(有料記事)
https://www.asahi.com/articles/CMTW1811070100005.html

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雨龍研究林の間伐材で登山道標柱が整備されました

2018年10月18日

雨龍研究林の間伐材により、幌加内町では北海道百名山の「三頭山」と「ピッシリ山」の標柱を設置しました。

掲載広報誌はこちらから

 

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2018年2月25日(日)に、第5回KIKORI祭に参加しました。

2018年3月5日

北海道中川町で、第5回KIKORI祭が開催されました。
3名1組でチームで参加します。
名寄(名寄教育研究棟)からは、「北大北管理部」「NYR38」「木人会」の3チームが参加しました。
詳しくは、こちらをご覧ください
中川町のKIKORI祭のページは、こちら。
http://nakagawanomori.info/kanko/kikori/

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母子里と出会う旅 2017冬 4月23日(日)

2017年4月12日

雪の中にある春を見つけにいこう

 

日時:2017423日 10時~17

集合場所:幌加内町母子里コミュニティセンター

定員:25名 

参加費:こども500円・おとな1000

申し込み締め切り:420日 (要事前申し込み)

詳しくは下記ファイルをダウンロードしてください。

 

2017冬母子里と出会う旅02

 

 

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2017年2月26日(日)に、第4回KIKORI祭に参加しました。

2017年3月2日

北海道中川町で、第4回KIKORI祭が開催されました。
名寄からは、きこり丸太レースに2チームが参加しました。
お祭りの会場には、林業体験ブースがあります。
今回は「ロープを使った木登りコーナー」のお手伝いをしました。
詳細は、こちら

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